Webの問題は、問い合わせまでのどこで止まっているのか
問い合わせが増えないとき、真っ先に疑われるのはホームページです。
デザインが古いのではないか。情報が足りないのではないか。検索で出てこないのではないか——もちろん、そういう場合もあります。ただ、一件の仕事が決まるまでの流れを最初から最後までたどってみると、止まっている場所がWebの外にあることも少なくありません。
サイトだけを直しても成果が変わらなかった経験がある会社ほど、一度この流れ全体を見てみる価値があります。
一件の仕事は、いくつかの段階を通って決まる
取引が決まるまでには、だいたい次のような段階があります。
会社を知る。詳しく調べる。他の選択肢と比べる。問い合わせる。条件を詰める。発注を決める。認知、情報収集、比較検討、問い合わせ、商談、受注。言葉にすると当たり前の流れです。
大事なのは、それぞれの段階で、Webが担う役割と、営業が担う役割が違うことです。
調べる段階では、Webが対応範囲を説明します。比べる段階では、事例や数字が証拠になります。問い合わせのあとは、営業が返答し、条件を確かめ、見積を出します。Webと営業が交互にバトンを渡しながら、一件の仕事を前に進めている。そう捉えると、見え方が変わります。
架空の製造業の流れをたどってみる
わかりやすくするために、架空の例を一つ置きます。実在の会社の話ではありません。金属加工を請け負う、社員20名ほどの会社を想像してください。
新しい取引先は、多くが既存の取引先からの紹介で来ます。紹介された担当者は、まず社名で検索して会社を確かめます。ここはWebが役割を果たしています。ただ、紹介者が会社をどう説明したかは人によってばらばらで、相手が抱いている期待もばらばらです。
次に、相手は自分の案件が頼めるかを調べます。材質は何を扱えるか。どのくらいの寸法まで対応できるか。ところがサイトには設備の一覧があるだけで、対応できる寸法が書かれていない。ここで一度、判断が止まります。
比べる段階では、似た部品を作った実績があるかを探します。社内には事例がいくつもあるのに、公開できる形に整理されていない。相手からすると、実績がない会社に見えます。
それでも問い合わせようと決めた人は、図面を送ろうとします。でも、どこにどう送ればいいかが書いていない。問い合わせフォームにはファイル添付の欄がない。メールアドレスを探しているうちに、別の仕事が入って後回しになる。
問い合わせが届いたあとも、流れは続きます。見積のやりとりは営業担当の個人メールで行われていて、履歴が社内に残っていない。発注に至らなかったとき、その理由も記録されていない。だから、次に同じような相手が来たときに、何を改善すればいいのかがわからないままです。
この例で、ホームページのデザインが原因だった場面は一つもありません。止まっていたのは、段階と段階のつなぎ目です。
止まっているのは、つなぎ目であることが多い
こうして一つずつたどると、流れが途切れやすい場所には傾向があります。
一つは、Webに書いてあることと、営業が話していることのずれです。サイトでは「小ロットから対応」と書いてあるのに、営業は量産の話から入る。相手はどちらを信じればいいのか迷います。
もう一つは、問い合わせのあとの引き継ぎです。フォームから届いたメールを誰が見て、誰に渡し、いつまでに返すのか。ここが決まっていないと、Webがせっかく届けた相談が、社内で止まります。
そして、結果が戻ってこないことです。受注できた理由も、見送られた理由も残っていなければ、Webの中身を直す材料がありません。何年経っても、同じ説明を同じように載せ続けることになります。
どれも、ホームページを作り直しても解決しません。流れの中で、誰が何を受け取り、何を次に渡しているのかを見て、初めて見つかる問題です。
全員がまっすぐ進むわけではない
一つ注意しておきたいのは、すべての相手がこの順番どおりに進むわけではないことです。
紹介されて、サイトを見ずにそのまま商談に入る人もいます。展示会で名刺を交換して、その場で見積を頼む人もいます。段階を飛ばす人がいるのは自然なことで、それを無理に一本の線に揃える必要はありません。
採用の場合は、後半の段階が変わります。問い合わせの代わりに見学や応募があり、商談の代わりに面接があり、受注の代わりに入社があります。営業と採用は流れも相手も違うので、一枚の図に混ぜないほうが整理しやすいです。
自社の流れを一枚に書き出してみる
自社でもできることがあります。紙一枚に、認知から受注までの段階を横に並べる。それぞれの段階で、相手は何をしているか。そのときWebは何を担っているか。営業は何をしているか。この三つを書き込んでみます。
書いていくと、埋まらない欄が出てきます。相手がどうやって自社を知ったのか、実はわからない。問い合わせのあと誰が返事をしているのか、人によって違う。見送られた理由を、誰も聞いていない。
わからない欄は、わからないままで構いません。それ自体が現在地です。数字がないことだけを理由に、そこが止まっていると決めつける必要もありません。
ただ、埋まらない欄と、明らかに途切れている欄が見えてくると、次に手を入れる場所はかなり絞られます。サイトを直すべきなのか、社内の引き継ぎを決めるべきなのか、営業が話す内容を揃えるべきなのか。問題の場所がわかれば、打ち手を間違えずに済みます。
ツギテでは、中小企業のWeb活用を一緒に考えるパートナーとして動いています。
「サイトを直しても問い合わせが変わらなかった」「Webと営業がうまくつながっていない気がする」——そんなご相談も歓迎しています。まずは気軽にお問い合わせください。