「作って終わり」にならない制作会社との付き合い方

打ち合わせのとき、会社のホームページを一緒に画面で開かせていただくことがあります。

トップページの「新着情報」が2年前で止まっていたり、スタッフ紹介のページに、すでに辞めた方の写真が残ったままだったり。

ご本人が苦笑いをされる場面に、これまで何度も立ち会ってきました。
きれいなサイトはできています。
ただ、公開された日がピークで、そのあとは事実上、誰も手を入れないままになっている。

これは特別な会社で起きていることではなく、むしろ「ちゃんと制作会社に頼んでつくった会社」ほど、こうなっている印象です。

「うちだけかな」と感じておられた方もいるかもしれませんが、同じ状態で止まっている会社は本当にたくさんあります。
そして話を聞いていくと、これは制作会社が悪いわけでも、発注した自社が怠けたわけでもないことが多い。

お互いの関わり方を、契約前にきちんと設計できていないだけなのです。

この記事では、「作って終わり」を繰り返さないために、発注側がどう動けばいいかをお伝えします。

「作って終わり」は制作会社だけのせいではない

最初にお伝えしておきたいのですが、制作会社が悪意で放置しているわけではありません。(制作側にいた経験があるので、この構造はよくわかります。)

多くの場合、契約のスコープが「サイトを納品するところまで」になっています。
公開したらそこで仕事は完了。
追加で何かしたいときは別途見積もり、という形です。

これ自体はおかしくないのですが、問題は発注側もそれに気づかず「あとはよしなに見ていてくれるだろう」と思い込んでしまうことです。
結果として、納品の日に両者の関係はいったんゼロに戻る。
公開後にどちらからも声がかからず、半年、1年と過ぎていきます。

この構造を変えるには、発注側が「納品後にどう関わるか」を契約のときに一緒に決めてしまうしかありません。
制作会社に求めるのは、納品物のクオリティだけではなく、そのあとも関係が続く設計だということです。

契約前に決めておくべき3つのこと

制作会社と打ち合わせを始める前、もっと言えば見積もりを取る前に、社内で決めておくべきことが3つあります。

ひとつめは、ゴールを数字で決めることです。

「問い合わせを月に3件増やしたい」「採用応募を年間で5件取りたい」というレベルでかまいません。
数字があると、制作会社も「そのために何をつくればいいか」が考えやすくなります。
ここが「とにかくきれいにしたい」だけだと、提案が表面的になり、納品後の判断基準もできません。

ふたつめは、公開後の運用主体を決めることです。

誰が、いつ、何を更新するのか。
社内の誰かが担当するのか、制作会社に月いくらで継続支援を依頼するのか。
これを契約前に握っておかないと、公開した瞬間に運用が宙に浮きます。

みっつめは、改善の判断基準を決めることです。

公開後にどの数字を見て、次の手を打つのか。
アクセス数なのか、問い合わせ件数なのか、特定ページの離脱率なのか。
基準があると「ここが悪いから直しましょう」という会話が成立します。
基準がないと「なんとなく古い気がするから作り直しましょう」に戻ってしまう。

この3つが空白のまま契約に入ると、納品の日に関係が必ず止まります。
やはりここを抜かしてはいけないのだと、現場を見ていて毎回感じます。

公開後の関わり方は「定例の場」で決まる

契約のあとに大事になるのが、定例の場をつくることです。

毎月でなくてかまいません。
四半期に1回、30分でも十分です。
数字を見て、気になっているページを見て、次の1か月か3か月で何をするかを話す。
それだけのことなのですが、この場があるかないかで、半年後の状態がまったく違ってきます。

逆にいちばん危ないのは、納品のときに交わされる「何かあったらまたご連絡ください」という言葉です。

発注側からすると「向こうから何か言ってくれるのかな」と感じ、制作側からすると「困ったら連絡くれるはず」と思っている。お互いに相手のアクション待ちになり、結局何も起きないまま時間だけが過ぎていく。

定例の場を最初から契約に組み込んでおけば、こういう待ちのすれ違いは起きません。
制作会社も「次に何を提案すればいいか」が考えやすくなり、発注側も「今月は何をどう判断するか」がはっきりします。

特別な仕組みではなく、ただ会話する場を地道に続けるだけ。
それが「作って終わり」を防ぐ、いちばん現実的な方法です。

制作会社・自社・第三者、3つの役割を分けて考える

ここまで読まれて、「結局それって全部こちらの仕事じゃないか」と感じた方もいるかもしれません。そう思うのは自然なことです。

実は、Web活用には3つの役割があります。

制作会社にしかできないことは、サイトをつくる・直す・技術的に運用することです。

自社にしかできないことは、事業の方向性を決める、素材や情報を出す、社内で意思決定することです。

そしてその間に、第三者の伴走者にしかできないことがあります。
戦略を整理する、数字を読み解いて経営の言葉に翻訳する、制作会社への発注内容を整える、定例の場を回す——こういった役割です。

これを発注側が全部抱えようとすると、たいてい途中で止まります。かといって制作会社に任せると、制作会社の都合のいい方向に話が傾いてしまう。

役割をきれいに分けて、それぞれが得意なことに集中できるようにする。

これがうまくいっている会社は、制作会社との関係も健全で、サイトもゆっくりと成長していきます。同じ状況で迷われている方も、いるのではないでしょうか。


一言で言えば、制作会社との付き合い方は「制作前の準備の質」と「制作後の場の有無」でほぼ決まります。
契約の前にゴール・運用主体・判断基準を決めておくこと、契約の中に定例の場を組み込んでおくこと。

この2つができていれば、制作会社が悪い・自社が悪いという話にはならず、お互いの役割を持ち寄って、地道にサイトを育てていける関係になります。
作って終わりにするかどうかは、実は契約書を交わす前にすでに決まっているのです。

この記事が、少しでも参考になれば幸いです。


ツギテでは、制作会社に発注する前の段階——「ゴールも運用も判断基準もまだ決まっていない」というタイミングからのご相談を歓迎しています。

ここを整理してから制作に入ることが、結果としていちばん遠回りに見えて、いちばん近道になるからです。

制作会社を選ぶ前に一度、ご連絡ください。

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