Web広告を始める前に「目的と予算」を整理すべき理由
「Web広告、うちもやったほうがいいですかね」
そう聞かれることがあります。だいたいの場合、続けてこう言われます。「前に一度やってみたんですが、あんまり効果がわからなくて」。
やってみた、でもよくわからなかった。この「よくわからなかった」が、実はいちばん問題です。効果がなかったのではなく、効果があったのかどうかを判断できる状態になっていない。中小企業のWeb広告は、ここでつまずいていることが多いように思います。
今回は、広告を出す前に決めておきたい二つのこと——目的と予算について書いてみます。
「問い合わせを増やしたい」だけでは足りない
広告の目的を聞くと、多くの方が「問い合わせを増やしたい」と答えます。もちろんそれで間違いではありません。ただ、この状態で広告を出すと、たいてい後で困ります。
たとえば、月に何件増えたら成功なのか。1件でも増えれば良いのか、5件必要なのか。その1件は、どんな相手からの問い合わせなら意味があるのか。既存の見込み客からの再問い合わせと、まったく知らない会社からの新規相談では、価値がまるで違います。
ここが決まっていないと、広告を止めるべきか続けるべきかの判断ができません。3件来たとして、それが良い結果なのか悪い結果なのか、誰にもわからないのです。
もう一つよくあるのが、目的とチャネルがずれているケースです。指名検索——つまり会社名で探している人に広告を出しても、その人はもともと自社サイトにたどり着く人です。新規のお客さんを増やしたいのに、既にこちらを知っている人にお金を払っている、ということが起きます。
誰に、何をしてもらいたくてお金を払うのか。ここを一段深く決めておくだけで、広告の設計はまったく変わります。
予算は「出せる額」ではなく「回収できる額」から考える
予算の相談を受けると、「月5万円くらいでできますか」といった聞かれ方をします。手元から出せる範囲で考える。感覚としてはよくわかります。
ただ、広告費は本来、逆から考えるものです。
一件の受注でいくら利益が出るか。何件の問い合わせから一件受注できるか。この二つがわかれば、一件の問い合わせにいくらまで払えるかが計算できます。受注一件の利益が30万円で、問い合わせ5件に1件受注できるなら、問い合わせ1件に6万円払っても赤字にはなりません。実際にはもっと低く抑えたいところですが、上限の目安はここから出ます。
この計算をしておかないと、「クリック単価が高い」「月3万円で足りるのか」といった話が、判断基準のないまま宙に浮きます。数字の大小は、回収できるかどうかと並べて初めて意味を持ちます。
もう一つ、予算の話で見落とされがちなのが期間です。広告は出したその日から最適化されるわけではありません。どのキーワードが効くのか、どの広告文に反応があるのか。データが溜まって、はじめて調整ができます。
3ヶ月分の予算を1ヶ月で使い切って「効果がなかった」と判断してしまうのは、もったいない。最初から数ヶ月分を見込んでおいたほうが、結果的に安く付きます。
受け皿がないと、広告費はこぼれ落ちる
目的と予算を整えても、まだ足りないものがあります。広告のリンク先です。
広告はあくまで、人をサイトに連れてくるところまでしかやってくれません。連れてきた先のページが、その人の期待に応えていなければ、そこで終わります。
よくあるのが、広告のリンク先が会社のトップページになっているケースです。「〇〇の修理」で検索して広告をクリックした人が、会社概要と事業一覧が並ぶトップページに着く。そこから修理の情報を探して回遊してくれる人は、そう多くありません。
広告費をかけて連れてきた人ほど、着地したページで迷わせてはいけない。検索した言葉と、着いたページに書いてあることが一致していること。問い合わせの入り口がすぐ見つかること。この二つが揃っていないと、払ったお金はそのままこぼれていきます。
サイトの状態によっては、広告に使う前に、まずランディング先を整えるほうが先だという判断になることもあります。
「試しに」の前に、一度立ち止まる
Web広告は、始めるだけならとても簡単です。アカウントを作って、キーワードを入れて、金額を設定すれば、その日のうちに配信できます。
始めやすいからこそ、準備なしで動き出しやすい。そして、始めやすいものは、たいてい止めどきもわからなくなります。
何を成功と呼ぶのか。いくらまでなら払えるのか。連れてきた人を受け止める場所はあるか。この三つに答えられる状態になってから出す広告と、「とりあえず試しに」で出す広告では、同じ金額を使っても残るものが違います。
広告は魔法ではなく、条件が整った場所を加速させる道具です。加速させる先がまだ整っていないなら、そちらを先に見たほうがいい。それだけの話だと思っています。
ツギテでは、中小企業のWeb活用を一緒に考えるパートナーとして動いています。
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