会社の「強み」を言語化することがWeb改善の第一歩になる話
ホームページの改善相談を受けたとき、デザインや導線の話に入る前に、必ず確認することがあります。 自社の強みを、一言で表現するとどうなるか、という点です。
これに対して、すぐ答えが返ってくることはあまり多くありません。 少し考えてから出てくる言葉は、品質への自信、地域密着、対応の早さ、丁寧さ、といったあたりです。
それ自体は間違っていないのですが、そこから先——どのページに、どんな言葉で書けばいいのか——になると、急に話が止まります。
この段階で、いったん立ち止まることにしています。 強みが言葉になっていない状態でWebを改善しようとすると、手を動かす方向が定まらないからです。
「まず直してみた」が続いていく理由
Webサイトの改善相談では、こういった経緯を聞くことが少なくありません。
問い合わせが少ないので、ボタンの色を変えてみた。フォームの入力項目を減らしてみた。写真を新しくした。それでも大きくは変わらない。やがて「もうリニューアルしかないかな」という話になる。
この繰り返しが起きる理由のひとつに、「誰に何を伝えるか」が決まっていないことがあります。 そしてその根っこには、自社の強みが言語化されていないことが多い。
デザインやボタンの話ではなく、もっと手前の問題です。 「このサイトに来た人が、なぜ自社を選ぶべきなのか」が整理されていないと、ページにどんな情報を置いても、来た人には刺さりません。 直しても直しても成果が動かない、という状態は、ここから来ていることがほとんどです。
「品質への自信」が伝わらない理由
強みを聞いたとき、品質への自信、地域密着、迅速な対応、丁寧さ——こういった言葉がよく出てきます。 これを否定したいわけではありません。ただ、そのままでは伝わらない。
理由は、これらが「比較できない言葉」だからです。
品質に自信がある会社は、同業他社のサイトにも書いてあります。 地域密着も、迅速な対応も、丁寧さも、競合の多くが同じように掲げています。 見ている側からすれば、どの会社も同じことを言っている。その状態では、「なぜここを選ぶのか」という判断ができません。
問い合わせの前に「もう少し別のところも調べてみよう」と離れていくのは、ページに情報が少ないからではなく、選ぶ理由が伝わっていないからです。
これはデザインで解決できる問題ではなく、言葉で解決するしかない問題です。
「誰の」「何を」「なぜ自社が」という問い
強みを言語化するというのは、抽象的なコピーを考えることではありません。「誰の、どんな状況に対して、自社は何ができるのか」を、具体的に答えられる状態にすることです。
経営者向けに噛み砕くと、問いは3つだけです。
ひとつめ——自社に依頼してきた人の中で、最もうまくいっているのはどんなお客さんか。業種、規模、どんな状況で声をかけてきたか。そこを具体的に言葉にする。
ふたつめ——そのお客さんは、もともとどんなことで困っていたのか。自社に頼む前はどんな状態だったか。依頼後に何が変わったか。
みっつめ——同業他社ではなく自社を選んだ理由は何だったか。継続して付き合いが続いているなら、その理由はどこにあるのか。
この3つを埋めていくと、「品質への自信」という言葉の裏にある、具体的な状況が見えてきます。
たとえば、他社に断られた小ロット案件を長年受け続けてきた実績があるなら、それ自体が強みです。
対応の早さが強みなら、見積もり依頼から24時間以内に回答しているという事実が言葉になります。
地域密着なら、市内であれば翌日に現地確認に入れるという具体性に落ちる。
抽象的な言葉が具体になった瞬間に、はじめて読んだ人に届く言葉になっていきます。
言葉が決まると、直すべき場所が見えてくる
強みが言語化されると、Webのどこを改善すべきかが自然に絞れてきます。
このターゲットに刺さる情報が、今のトップページに出ているかを確認できるようになります。
この強みを証明する実績や事例が、どこかのページに載っているかを問えるようになります。
問い合わせページの前に、この強みを一言で表現できているかという観点で動線を見直せるようになります。
逆に言えば、ここが決まっていない状態でデザインを変えても、何かを足したり引いたりしても、本質的な改善にはなりません。
「どこを直すか」よりも先に「何を伝えるか」が決まっていないと、直す場所が正しいかどうかの判断もできません。
Webサイトは、会社の言語化を可視化するものです。
言語化の質が低ければ、サイトの質もそこに引っ張られます。
デザインで補える部分はあります。でも、それで補えるのはほんの一部だと思っています。
「うちには強みがない」という感覚について
相談の場で、うちには特別な強みがないんですよね、という話が出ることがあります。
大手ほど技術力がある会社が周りにある。価格でも戦えない。長い歴史もない。そういった文脈で出てくる言葉だと思います。
ただ、話を深く聞いていくと、強みがないのではなく言葉にできていないだけ、ということがほとんどです。
長年の取引先が続いているなら、なぜ続いているのか。
紹介で仕事が来るなら、何が評価されているのか。
一度頼んだ人が繰り返し連絡してくるなら、その理由はどこにあるのか。
これらをひとつひとつ掘り下げていくと、外には出ていなかった「なぜ選ばれているか」が見えてきます。
強みを新しく作るのではなく、すでにある事実を言葉に直す作業です。
ここに気づいた瞬間に、Webで何を見せるべきかという話が、一気に動き出すことがあります。
言語化に時間がかかることもあります。 一回の打ち合わせでは出てこないこともあります。
ただ、この作業を避けてWebだけを直し続けても、根の部分は変わりません。
どこかで向き合う必要があるなら、早い段階のほうが遠回りにならないとも感じています。
ツギテでは、中小企業のWeb活用を一緒に考えるパートナーとして動いています。
「強みをどう言葉にすればいいかわからない」
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