「SNS更新が続かない」のは意志ではなく仕組みの問題
会社のInstagramを開いてもらうと、最後の投稿が3ヶ月前で止まっている。そういう場面に、わりとよく出くわします。
最初の1ヶ月は毎週上がっている。2ヶ月目からペースが落ちる。3ヶ月目に一度だけ投稿して、そこで途切れる。判で押したように同じ形をしています。
担当の方は、たいてい申し訳なさそうにします。忙しくて手が回らなかった、と。でも、続かなかった原因は、その人の頑張りが足りなかったからではないと思っています。
「時間がない」の中身を分解してみる
続かない理由を聞くと、最初に出てくるのは「時間がない」です。ただ、投稿そのものにかかる時間は、慣れれば10分か15分といったところです。1週間のうちの15分が取れない、というのは考えにくい。
実際に時間を食っているのは、投稿の前の部分です。
何を書こうか考える。写真を探す、または撮りに行く。文章をどう始めるか迷う。書いたものを読み返して、これでいいのか不安になる。人に見られると思うと、ちょっとした一文にも時間がかかります。
つまり「投稿する時間がない」のではなく、「決めることが多すぎて着手できない」。ここが本当の壁です。だから、意志の力で解決しようとすると失敗します。決めることを減らす仕組みを作るほうが、はるかに効きます。
ネタは、思いつくものではなく貯めるもの
いちばん大きな負担は、ネタ探しです。投稿しようと思った瞬間にゼロから考える。これを毎回やっていると、必ず疲れます。
現実には、ネタは日々発生しています。現場で撮った作業中の写真。お客さんから聞かれた質問。納品したものの完成形。展示会に出た日。新しく入った機械。社員が資格を取った。こういうものは、その場では「投稿ネタ」として認識されないまま流れていきます。
だから、貯める場所を先に作っておきます。スマホのメモアプリでも、共有のフォルダでも構いません。写真を撮ったらそこに放り込む。誰かに何かを聞かれたら一行書いておく。投稿するかどうかは、あとで決める。
この「あとで決める」が大事です。撮った瞬間に投稿しようとすると、文章を考える負担が同時にのしかかります。素材集めと発信を分けておくと、両方が軽くなります。
社員何人かで同じ場所に入れられるようにしておくと、さらに楽になります。担当者一人がネタを探し回る構造だと、その人が忙しい月に止まります。
「型」を作ると、書き出しで止まらなくなる
もう一つの負担が、文章です。毎回ゼロから書き方を考えるから、書き出しで手が止まります。
これは、投稿の型をいくつか決めておくと解決します。たとえば、施工や製作の様子を見せる回。よくある質問に答える回。働いている人を紹介する回。お知らせやイベントの回。
型が決まっていれば、書く前の判断が減ります。「今日は質問に答える回」と決めた時点で、書き出しも構成も、だいたい決まっているからです。
投稿の質にばらつきが出るのを心配する方もいますが、SNSでは整った文章より、続いていることのほうが効きます。3ヶ月前で止まっているきれいな投稿より、先週更新された素朴な投稿のほうが、見た人には「動いている会社」に映ります。
ペースは、続けられる線まで下げていい
始めるときは、たいてい「週2回」くらいの目標を立てます。意気込みとしては自然ですが、これが最初の躓きになることが多いです。
週2回は、月に8本。本業の合間にこれを続けるのは、思っているより大変です。1回できなかった時点で「遅れている」感覚が生まれ、2回続くと戻れなくなります。
だったら最初から、確実に守れる線まで下げたほうがいい。月2回でも構いません。それを1年続ければ24本になります。週2回を2ヶ月でやめるより、ずっと多い。
そして、投稿する日を先に決めておきます。第2・第4火曜日の午前、といった形です。曜日と時間が決まっていないと、「今週のどこかで」がいつまでも先送りされます。カレンダーに入れて、10分だけ枠を取る。それくらいの具体さがちょうどいいです。
何のためにやっているのかを、一度決めておく
仕組みの話をしてきましたが、その前提として一つ確かめておきたいことがあります。そのSNSは、何のためにやっているのか。
集客のためなのか、採用のためなのか、既存のお客さんとの接点を保つためなのか。ここが曖昧なままだと、投稿するたびに「これで合っているのか」という迷いがつきまといます。この迷いも、続かない原因の一つです。
たとえば採用が目的なら、投稿の中身は現場の空気や働いている人が中心になります。集客が目的なら、施工事例やお客さんの困りごとが中心になります。目的が決まれば、何を撮ればいいかも決まる。ネタ探しの負担も、そこで一段下がります。
それから、いいねの数を成果と思わないこと。数字が伸びない月に心が折れるのは、追う数字を間違えていることが多いです。求人への応募があったか、問い合わせのきっかけになったか。見るべきはそちらです。
止まったなら、また始めればいい
すでに数ヶ月止まっているアカウントがある場合、放置するより再開したほうがいいです。「久しぶりの投稿です」と断る必要もありません。誰も、前回がいつだったかは気にしていません。
そして再開するときは、以前と同じペースに戻そうとしないこと。止まった原因は、たいていそのペースにあります。
続かないのは、担当者の性格の問題ではありません。決めることが多すぎる状態を放置していただけです。決めることを減らせば、たいていのことは続きます。
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