採用サイト改善、最初にやるべきことは「応募フォーム」ではない

採用がうまくいかない。求人を出しても応募が来ない。そういう相談を受けると、多くの経営者がまず口にするのが「応募フォームに問題があるのかもしれない」という話です。入力項目が多すぎるのでは。スマホで押しにくいのでは。だから応募が途中で止まるのでは、と。

たしかにフォームは改善できます。項目を減らせば、送信のハードルは下がります。

でも、多くの場合、人はフォームの前で止まっているわけではありません。そこにたどり着く、ずっと手前で離れています。

応募が来ないとき、つい「入口」を疑ってしまう

フォームを疑う気持ちは、よくわかります。目に見えて直せる場所だからです。項目を減らす、ボタンを大きくする。やることがはっきりしていて、すぐ手をつけられます。

ただ、フォームは採用サイトの一番最後にある入口です。そこに指をかけるということは、求職者がすでに「ここで働いてみたい」と思っている状態です。

問題は、そこまで気持ちが動いていないことのほうがずっと多い。ページを開いて、少し眺めて、そっと閉じる。応募フォームを見る前に、多くの人が離れていきます。だからフォームだけを直しても、数字はなかなか動きません。

実際、採用ページを見せてもらうと、会社概要と、募集要項の表と、一番下に応募フォーム。その構成だけ、というサイトをよく見かけます。情報としては揃っています。ただ、そこから「この会社で働く自分」を思い描くのは、なかなか難しい。足りないのは項目ではなく、働く場所の手ざわりのほうです。

求職者が本当に知りたいのは「ここで働く自分」

求人サイトや採用ページを見ているとき、求職者の頭の中で起きているのは、条件の確認だけではありません。「自分がここで働いている姿」を、無意識に思い描こうとしています。

朝、どんな場所に出社するのか。どんな人たちと机を並べるのか。仕事は一日どんなふうに流れていくのか。入って半年後の自分は、何ができるようになっているのか。

この絵が浮かぶと、人は一歩を踏み出せます。逆に、いくら給与や休日の条件が並んでいても、働く自分の姿が見えなければ、応募には至りません。「悪くはないけど、よくわからない会社」で止まってしまうのです。

「働くイメージ」は、条件を並べるだけでは伝わらない

多くの採用サイトに載っているのは、事実です。給与、勤務時間、休日、福利厚生。もちろん、これらは必要な情報です。

ただ、事実だけでは、働く自分の姿までは届きません。求職者が知りたいのは、その数字の奥にある「実際のところ」だからです。

たとえば、先輩社員が普段どんな仕事をして、どんなときにやりがいを感じているか。職場の空気は、にぎやかなのか、落ち着いているのか。未経験で入った人が、どうやって一人前になっていったのか。失敗しても大丈夫だと思える場所なのか。こういう話が、写真や言葉で少しでも見えると、会社の輪郭がぐっとはっきりします。

かしこまった社長挨拶や、抽象的な経営理念よりも、現場で働く人の顔と声のほうが、ずっと多くを語ります。うまく飾る必要はありません。ありのままの一日が伝わるだけで、求職者は「ここで働く自分」を思い描けるようになります。

フォームを直すのは、そのあとでいい

働くイメージが伝わって、「応募してみようか」という気持ちが生まれる。応募フォームが効いてくるのは、そこから先です。

せっかく気持ちが動いたのに、入力項目が多すぎて面倒になる。スマホで打ちにくくて途中でやめる。そういう取りこぼしを防ぐために、フォームは整えておく価値があります。

でも、それはあくまで最後の一押しです。押したくなる気持ちがまだ生まれていないなら、フォームをどれだけ磨いても、押す人は増えません。順番でいえば、働くイメージを届けるほうが先。フォーム改善は、そのあとに効いてきます。

まず、求職者の目で一度開いてみる

自社の採用ページを、一度、求職者になったつもりで開いてみることをおすすめします。

この会社で働いたら、毎日どんな感じになりそうだろうか。一緒に働く人の顔は見えるだろうか。ここでなら頑張れそうだ、と思える材料はあるだろうか。

そうやって眺めていくと、たいてい「条件は書いてあるけれど、中で働く人の姿が見えない」ことに気づきます。そこが、応募フォームより先に手をつける場所です。採用サイトは、働くイメージが伝わりはじめると、同じ求人でも応募の集まり方が変わってきます。


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