「働くイメージ」が伝わらないと応募が来ない理由
採用サイトを作ったのに応募が来ない。そういう相談を受けたとき、まずサイトを一通り見せてもらいます。
仕事内容が書いてある。給与と休日も載っている。会社の理念があって、応募フォームもある。必要そうな情報は、ひと通り揃っています。
それでも応募が来ない。理由を待遇や知名度のせいにしたくなりますが、多くの場合、もっと手前に原因があります。読んだ人が、そこで働いている自分を思い浮かべられていないのです。
求職者が探しているのは「条件」ではない
もちろん、給与や休日は大事です。そこが折り合わなければ応募には至りません。
ただ、条件だけで決める人は、そう多くありません。条件は「足切り」に使われる情報です。ここを通過したあとで、人は別のことを考え始めます。
どんな人と働くことになるのか。一日をどんなふうに過ごすのか。わからないことを聞ける雰囲気なのか。入って3年経ったとき、自分は何ができるようになっているのか。
これらは、求人票には載っていない情報です。でも、応募のボタンを押すかどうかを決めているのは、たいていこちら側です。
転職や就職は、生活が変わる決断です。決めるには、変わったあとの毎日を想像できる必要があります。想像できなければ、不安のほうが勝つ。だから応募されないまま閉じられます。
よくある採用サイトが伝えていないこと
応募が来ない採用サイトを見ていると、共通点があります。会社の側から見た情報しか載っていないのです。
事業内容、沿革、代表メッセージ。どれも会社が発信したいことです。間違いではありませんが、求職者が知りたいこととは少しずれています。
たとえば「風通しの良い職場です」「働きやすい環境を整えています」といった一文。会社としては雰囲気を伝えたつもりでも、読む側には何も残りません。同じことを書いている会社が、他にいくらでもあるからです。
代わりに、現場から出た提案が翌月には試されていること。有給が半日単位で取れて、子どもの行事で午後休を取る人が普通にいること。分からないことを、隣の席の先輩にその場で聞ける距離感であること。そういう具体的な事実が一つあるほうが、雰囲気は伝わります。
写真も同じです。きれいに撮った建物の外観や、整った会議室の写真より、実際に人が作業している場面のほうが情報量があります。多少雑然としていても構いません。むしろ、そのほうが本当らしく見えます。
何を載せると、イメージが立ち上がるか
働くイメージを作るために効くのは、だいたいこのあたりです。
一つは、先輩社員の話。入社のきっかけ、いまの仕事、大変だったこと、これからやりたいこと。整った美談にする必要はありません。「最初の半年は何もできなくて焦った」といった話が入っているほうが、読む人は自分を重ねやすくなります。
もう一つは、一日の流れ。朝何時に来て、午前中は何をして、昼をどう過ごし、何時ごろ帰るのか。これが書いてあるだけで、生活のイメージがかなり具体的になります。
それから、入社後の道筋。最初の3ヶ月は何を教えてもらえるのか。一人で仕事を任されるのはいつ頃か。資格の取得を会社が支援しているなら、それも。未経験の人ほど、ここが不安の中心にあります。
数字も使えます。平均年齢、勤続年数、中途入社の割合、有給の取得日数。会社の実態を、主観抜きで示せます。良い数字ばかりでなくても構いません。「若い会社なので平均年齢32歳」と正直に書くほうが、伝わり方は誠実です。
全部を作り込まなくていい
こう書くと、大がかりな制作が必要に思えるかもしれません。でも、最初から全部は要りません。
まずは社員一人にインタビューして、その内容を1ページにまとめる。それだけでも、サイトの印象は変わります。写真は現場でスマホで撮ったもので構いません。
大事なのは、外向けに整えることではなく、実際にそこにあるものを見せることです。飾った言葉より、地味でも具体的な事実のほうが、求職者には届きます。
そして、いま働いている社員の話を聞くこと自体が、自社の魅力を言語化する作業になります。採用サイトのためだけでなく、社内にとっても意味のある時間になることが多いです。
応募は、想像できた人からしか来ない
採用サイトの役割は、会社を良く見せることではないと思っています。読んだ人が、そこで働く自分を具体的に思い浮かべられるようにすること。それが果たせていれば、条件が飛び抜けていなくても応募は来ます。
自社の採用ページを、求職者の目で一度開いてみる。この会社で働く一日が、どれくらい思い浮かぶだろうか。そこで手が止まるなら、足りないのはたぶん、募集要項の情報量ではありません。
ツギテでは、中小企業のWeb活用を一緒に考えるパートナーとして動いています。
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