採用サイトに費用をかける前に確認したいこと
人が採れない。応募が来ない。 そういう状況が続くと、「採用サイトを作り直そう」という話になります。
判断としては自然です。 古いサイトのままでは応募者にも見られている。新しくしたほうがいい、と考えるのは当然だと思います。
ただ、その前に一度立ち止まってほしいと思っています。 採用サイトにお金をかける前に、確認しておいたほうがいいことがあるからです。
サイトを作ること自体が悪いわけではありません。 でも、整っていないまま作ると、きれいなサイトはできても応募は増えない。そういうケースを何度か見てきました。
この記事では、採用サイトに費用をかける前に確認したい3つのこと——ターゲット、メッセージ、導線——についてお伝えします。
なぜ「作る前」が大事なのか
採用サイトは、安いものではありません。 制作費がかかり、写真や原稿を用意する手間もかかる。社員に協力してもらうこともある。
それだけのものを投じるのに、「誰に・何を・どう届けるか」が決まっていないまま発注してしまうことがあります。 すると制作会社は、与えられた情報の範囲できれいに仕上げてくれます。ただ、それは「整ったサイト」であって、「応募が来るサイト」とは限りません。
採用サイトの成果は、デザインの良し悪しよりも前の段階で、ほとんど決まっています。 だからこそ、費用をかける前に確認しておくことに価値があります。
① ターゲット——誰に来てほしいのか
最初に確認したいのは、ターゲットです。
「どんな人に応募してほしいですか」と聞くと、「やる気のある人」「長く働いてくれる人」という答えが返ってくることがあります。 気持ちはわかります。でも、これだと誰にも刺さりません。
たとえば、未経験で別の業界から転職してくる人と、同業で経験を積んできた人とでは、知りたいことが違います。 前者は「未経験でもやっていけるのか」「教えてもらえる環境なのか」を気にする。後者は「どんな案件があるのか」「裁量があるのか」を見ている。
ターゲットが曖昧だと、サイトの内容も「全部の人に向けて、全部書く」方向に向かいます。 結果として、誰の心にも残らないページになる。
来てほしい人を一人、具体的に思い浮かべられるか。 ここが最初の分かれ目です。
② メッセージ——自社の何を伝えるのか
次に確認したいのは、メッセージです。
求職者は、複数の会社を比べています。 そのなかで「この会社で働きたい」と思ってもらうには、自社ならではの何かが伝わらないといけません。
ところが、採用サイトに載っている言葉は、どこの会社も似ています。 「風通しの良い職場」「成長できる環境」「アットホームな雰囲気」。 これらは嘘ではないのでしょう。でも、これだけでは他社と区別がつきません。
大事なのは、抽象的な言葉ではなく、その会社の実際の様子が見えることです。 どんな仕事をしていて、一日がどう流れて、どんな人が働いているのか。 社員インタビューや仕事紹介が効くのは、そこにリアリティがあるからです。
「うちの会社の、何を伝えれば応募したくなるのか」 この問いに自分たちの言葉で答えられるか。整理しておきたいのはここです。
③ 導線——応募までたどり着けるのか
3つ目は、導線です。
ターゲットが決まり、メッセージが伝わったとして、最後に応募してもらえなければ意味がありません。 ところが、ここで取りこぼしているケースは少なくありません。
求人ページは見られているのに、応募フォームまでたどり着いていない。 フォームを開いたのに、入力項目が多すぎて途中でやめてしまう。 スマートフォンで見たときに、ボタンが押しにくい。
応募という行動には、いくつもの段差があります。 その段差をひとつずつ低くしていく作業が、導線の設計です。
採用サイトを作るとき、つい「見せる」ことに意識が向きます。 でも、見たあとに「動いてもらう」ところまで設計されていないと、応募にはつながりません。
整ってから作ると、何が変わるか
この3つが整理されていると、制作の段階が変わります。
制作会社への依頼内容が具体的になる。 「誰に向けて、何を伝え、どう応募まで運ぶか」が言葉になっているので、デザインや構成の判断もぶれません。
そして公開したあとも変わります。 応募が来た・来ないを、感覚ではなく確認できるようになる。 求人ページは見られているか、フォームまで到達しているか、どこで離脱しているか。数字で追えるようになります。
逆に、整理しないまま作ると、公開後に「なんとなくうまくいっていない気がする」という状態に戻ってしまう。 そして数年後、また「そろそろ作り直したほうがいいのかな」と考えることになる。
まず、書き出してみることから
特別なツールはいりません。 来てほしい人を一人思い浮かべて、その人に伝えたいことを書き出してみる。応募までの流れを、求職者の目線でたどってみる。
これをやるだけで、今のサイトに足りないものが見えてきます。 費用をかけるかどうかの判断も、そのあとのほうが正確になります。
採用サイトは、作ってから考えるものではなく、考えてから作るもの。 順番を変えるだけで、同じ予算でも結果は変わってきます。
この記事が、少しでも参考になれば幸いです。
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