ホームページは「作るもの」ではなく「育てるもの」という考え方
ご相談の前に、その会社のサイトを一通り拝見するようにしています。
新着情報の欄を開くと、いちばん上に「ホームページをリニューアルしました」。その下に「年末年始休業のお知らせ」。さらにその下にも、また「年末年始休業のお知らせ」。
日付を見ると、新しいものでも1年以上前で止まっています。
打ち合わせで「最後にホームページを触ったのはいつですか」と伺うと、「たぶん、3年前のリニューアルのときが最後だと思います」と返ってくることが少なくありません。
ドメインは残っている。サーバー代も毎月引き落とされている。ただ、中身は3年前のまま、誰も手を入れていない。
新着情報の「リニューアルしました」というお知らせだけが、その当時の温度のまま、ずっとトップに残り続けている。
そんな状態でご相談に来てくださる経営者の方は、決して珍しくありません。
この記事でお伝えしたいのは、原因の分析ではなく、その手前の話です。
ホームページを「作るもの」と捉えるか、「育てるもの」と捉えるか。
この一点で、納品後の数年がまったく違うものになるからです。
「作る」と「育てる」では、頭の使い方が違う
ホームページを「作るもの」と捉えていると、頭はこういう動き方をします。
必要だと感じたタイミングで予算を組む。
制作会社を選び、要件を伝え、原稿と写真を出し、完成を待つ。公開したら、ひとまず仕事は終わり。
次に動くのは、また数年後、「そろそろ古くなってきたな」と感じたとき。
判断は「作るか/作らないか」の二択で、エネルギーは制作の数か月に集中して使われます。
「育てるもの」と捉えていると、動き方がだいぶ変わります。
予算は一度に大きく組むのではなく、毎月の中に少しずつ織り込む。
判断は「次の一手を何にするか」という小さな問いの連続になり、エネルギーは一度に集中するのではなく、薄く長く伸びていきます。
このふたつは、やっている作業そのものが違うというより、頭の使い方が違うのです。
そして頭の使い方の違いは、3年後、5年後のサイトの状態にそのまま現れます。
「完成」は、つくり手側にしかない概念
もうひとつ、捉え方を切り替えるうえで大事な視点があります。
ホームページの「完成」というのは、実はつくり手側にしかない概念です。
請求書を発行する側、納品物にOKを出す側にとっては、たしかに完成日があります。ここで一区切り、という線が引ける。
ただ、見にくる側からすれば、その線は存在しません。
彼らが見ているのは、検索結果に出てきた今日のページであり、3年前に書かれたサービス紹介文であり、止まったままの新着情報です。
「3年前に納品されたサイト」も「先月公開されたばかりのサイト」も、見にきた人からは同じ「今日のサイト」として並びます。
作り手の「完成」と、見る側の「最新」のあいだには、想像以上の距離がある。
この距離を、少しずつ縮めようとする姿勢が「育てる」ということなのです。
決断のサイズが、毎月小さくなっていく
「育てるもの」と捉え直すと、副次的な効果がもうひとつ出てきます。
決断のサイズが、毎月小さくなるのです。
「作るもの」のスタイルだと、3年に1度、200万円・300万円の決断を迫られます。
金額が大きすぎるから、つい先送りにする。先送りされている間も、サイトは静かに古びていく。
気がついた頃には、また大きな決断が必要な状態に戻っている。この往復を繰り返してきた会社が、多いのではないでしょうか。
一方で「育てるもの」のスタイルだと、決断はずっと小さくなります。
「今月はサービスページの順番を入れ替えてみよう」「来月は事例をひとつ載せ替えてみよう」。
社長が30秒で判断できる決断が、12回/年で積み上がっていく感じです。
大きな決断は重く、小さな決断は軽い。
そして長い目で見ると、軽い決断を続けた会社のほうが、サイトを資産として育てています。
続ける、という選択
「育てる」と言うと、たいそうな技術や継続的なコストを連想されるかもしれません。
ただ実際にやることは、月に一度数字を見て、ひとつだけ手を動かす、というシンプルな繰り返しです。時間にすれば2〜3時間で済みます。
具体的な手順については別の記事に譲るとして、ここでお伝えしたいのは、内容そのものよりも「続ける、という選択をすること」のほうが大きい、ということです。
3年に1度ゼロから作り直すよりも、毎月ひとつ手を入れるほうが、結果としてサイトは強くなります。
小さな更新が積み重なったサイトと、3年間止まっていたサイトでは、2年・3年と経つと、はっきりと差が出てきます。
ホームページを「作るもの」と捉えていると、サイトはいつまでも、たまに大金を投じる消耗品のままです。
「育てるもの」と捉え直したとき、はじめてサイトは、磨いていける資産に変わっていきます。
派手なリニューアルを検討する前に、まず「これは育てていくものだ」と頭の中で位置づけ直してみる。
それだけで、次にとる行動の選択肢が、ずいぶん広がるはずです。
この記事が、少しでも参考になれば幸いです。
ツギテでは、中小企業のWeb活用を一緒に考えるパートナーとして動いています。「作ったまま、もう何年も触っていない」「いきなりリニューアルではなく、いま手元にあるサイトをどう育てればいいかを相談したい」——そんなご相談も歓迎しています。月に1度、数字を一緒に見るところからでかまいませんので、まずは気軽にお問い合わせください。